相続人(人)の次は、相続財産(モノ)のお話しをします。

相続財産

相続財産には、次のようなものがあります。
①現金・預貯金
②不動産(土地・家屋)
③不動産上の権利(地上権・賃借権・抵当権など)
④動産(自動車・宝石貴金属・骨とう品など)
⑤有価証券(株式・国債・手形など)、ゴルフ会員権
⑥その他債権(売掛金・貸付金・損害賠償請求権など)
⑦知的財産権(特許など産業財産権・著作権など)
⑧生命保険金(故人が受取人のもの)

今回はその中から、相続して一番困らないモノ、預貯金についてお話します。

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相続財産の原則

相続が開始されると、被相続人(亡くなった方)が有していた
一身に専属していた権利義務を除いた
一切の権利義務(相続財産)が相続人に包括承継されるのが原則です。
そして、複数の相続人がいる場合には、その相続財産(遺産)は、遺産分割により具体的な相続分が確定するまでの間、共同相続人全員による「共有」となります(民法898条)。

可分債権

もっとも,相続財産のうちには,この共有とはならないものもあります。
その代表的なものが金銭・預貯金などの「可分債権」です。
例えば100万円の預貯金を二人で分けようとすると、一人50万円できれいに分けられますよね。
文字のとおり可分、分けることのできる債権というわけです。

判例は、
「相続開始と同時に当然に各相続人に各相続分の割合で分割され承継される」としています。

A銀行に預金が100万円、相続人はお子さん2人とすると、50万円ずつ分割されて帰属することになり、
遺産分割の必要がないというのが判例の考え方です。

実際の銀行実務

ところが、上記の考え方によるとA銀行は、相続人が本当に2人なのか、
相続分が2分の1ずつであるかどうかの判断をしなければなりません。

従って、銀行実務では判例にもかかわらず相続人全員の遺産分割協議書などを要求し、
相続人からの単独の払戻請求に応じていないのが実情です。
後々のトラブルを回避しようとしているわけです。

銀行口座の凍結

銀行などの金融機関は預金名義人が亡くなったことを知った時は、直ちに預金の払戻しの停止措置をとります。
すなわち、預金口座の凍結です。
通帳

ここからは、原則として法定相続人全員の合意が得られないと相続預金をおろすことはできません。

では、どうやって銀行は口座名義人の死亡を知るのでしょうか。

遺族の方が銀行に口座名義人の死亡を知らせている場合は当然として、
外回りの行員が葬儀を見かける、
新聞の訃報欄などで情報を入手しているといわれています。

実は平成30年くらいから、預金口座にマイナンバーを紐付けようとする動きがあります。
当面は任意のようですが、将来的にこれが制度化された場合は、
役所への死亡届=銀行口座の凍結に繋がることも、ありえない話ではないと思います。

銀行側の対応

相続が発生したときには、銀行などの金融機関は次のことを確認します。

 ①口座名義人の死亡の事実
  戸籍の全部事項証明書(戸籍謄本)などで確認します。
  戸籍の全員が除籍されて誰もいない戸籍であれば、除籍全部事項証明書(除籍謄本)によります。

 ②法定相続人は誰か
  民法により、相続権が認められているのは法定相続人だけです。
  遺言書がない場合は、法定相続人が相続財産を承継します。
  そして、法定相続人の確認は、亡くなった方の生まれてからの戸籍謄本で確認します。

 ③遺言書が有るか
  遺言書の有無は、家族しか分かりませんので、家族の方からの申告によります。
  自筆証書遺言書の場合は原本を、公正証書遺言書の場合は、正本または謄本を確認します。

 ④遺産分割協議書は有るか
  遺言書がない場合は、原則として遺産分割協議書によります。
  分割協議前でも、法定相続人の全員の合意があれば、相続預金の払い戻しはできますが、
  できるだけ被相続人の相続財産の全てについて分割協議を行なうことをお勧めします。

預金残高の照会

亡くなった方の預金の残高照会は相続人一人でもできます。
相続放棄・限定証人をするかどうかの決断をするためには、相続財産の調査が必要だからです。
民法第915条第2項
「相続人は、相続の承認または放棄をする前に、相続財産の調査をする事ができる」

相続預金の取引経過照会

相続預金の残高照会をし、残高が不自然に減っていた場合には取引経過を調べてみることもできます。
もしかしたら、他の相続人が生前贈与を受けていたり、不当に引き出している場合もあります。

いずれにしても、銀行手続きは面倒です。
遺産分割協議書を含め専門家に任せることをお勧めします。

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