遺言の方式

遺言書の方式 そろそろ遺言書について話を進めて行きたいと思います。
民法では、遺言には普通の方式と特別の方式によるものが規定されています。

普通方式

民法第967条(普通の方式による遺言の種類)
遺言は、自筆証書、公正証書又は秘密証書によってしなければならない。
ただし、特別の方式によることを許す場合は、この限りでない。

普通方式については次回にお話しします。

特別方式

特別方式遺言とは、 ゆっくりと落ち着いた状態で作る普通方式遺言が不可能な場合、
緊急に特別で作る遺言のことをいいます。
下記のとおり、たとえば死亡が目前に迫っていたり、 船舶や飛行機が遭難した場合などに、
緊急に行う遺言のことです。

民法第976条(死亡の危急に迫った者の遺言)
疾病や負傷で死亡の危急が迫った人の遺言形式です。
特別方式のなかでも、比較的このケースは考えられますので後ほどお話しします。

民法第977条(伝染病隔離者の遺言)
伝染病による行政処分によって交通を断たれた場所にいる人の遺言方式です。
刑務所の服役囚や災害現場の被災者もこの方式で遺言をすることが可能となります。

民法第978条(在船者の遺言)
船舶に乗っていて陸地から離れた人の遺言方式です。

民法第979条(船舶遭難者の遺言)
船舶や飛行機に乗っていて死亡の危急が迫った人の遺言方式となります。

それぞれ証人の人数や、職業、後日の家庭裁判所への確認手続きなどが定められていますが、
ここではこの程度にとどめておきます。

死亡の危急に迫った者の遺言723a34cdc5b4b9c72fb20ee1e4884e0b-e1403570286783-300x200

ケガや病気のために、もうすぐ死が訪れようとしている。
遺言は書いてないが、書かなくてはと考えている。
しかし、自分で書こうにも、起き上がることも手を動かすこともできない。
公証人に来てもらい公正証書遺言を作成するまでの時間の猶予は無いかも?

遺言書を準備しないうちに、不運にもこのような状況になったら

そんなときの遺言が、「死亡危急者遺言」といわれる、特別方式の遺言です。
いわば、他に方法が無い最後の手段としての遺言です。

要件
(1)病気その他の理由により、臨終が間近に迫っていること

(2)3人以上の証人が立会うこと

(3)遺言者は、証人のうち1人に遺言の趣旨を遺言者が口頭で述べて、その証人に筆記させます
IMG_02880155(4)筆記した証人が、その内容を遺言者と他の証人に読み聞かせ、または閲覧させます

(5)証人全員がその筆記の正確なことを承認した後、これに署名して印を押します

(6)遺言の日から20日以内に証人のうちの1人または、
   利害関係人(相続人など)から家庭裁判所に確認の請求をします

(7)家庭裁判所は、この遺言が遺言者の本当の意思によるものであるとの心証が得れれば、これを確認します。

留意すべき点
(1)証人は少なくとも3人
  但し、以下のような人は証人にはなれません。
  ・未成年者
  ・相続人になる者、遺言で財産をもらう者、これらの者の配偶者や直系血族(親や子ども)

  証人の例
  ・遺言者の兄弟姉妹(ただし相続人になる人や遺言書で遺産をもらう人はなれません)
  ・医師や看護師
  ・友人、知人
  ・専門家(弁護士・行政書士など)

(2)緊急時なので難しいと思いますが、
   確実に作成するために、財産の特定をしておくことが必要です。
   不動産の登記簿謄本や預金通帳、株式の明細書などです。

   と、ここまで事前に準備しておくのなら、逆にこの時点で公正証書による遺言をすべきですよね

(3)遺言後は、遺言者が生存してもしていなくても、20日以内に家庭裁判所に確認請求をします。

死亡危急者遺言か公正証書遺言かの選択

病気などで入院している方の遺言は、公証人に出張してもらい公正証書遺言を作成するか、
「死亡危急者遺言」を作成するか、のどちらかになりますが、
入院はしているが死の危機が迫っていない場合は公正証書遺言にすべきです。
それが一番確実で手続きが簡易な遺言方式だからです。

「死亡危急者遺言」の作成後にすること

遺言者が亡くなって相続が始まったら、 家庭裁判所で検認の手続きをしなくてはいけません。

容体が幸運にも回復し、6ヶ月間生存していれば、特別方式の遺言の効力はなくなります。
この場合は、普通方式で遺言が出来ますから、普通方式でしなさいということでしょう。

「そのうち遺言を」ではもう遅い

「そのうち遺言を」と考えていたが、先延ばしをしたばかりに、
「しまった!」とならないように、普通方式(特に公正証書)による遺言を残すことが必要です。

しかし、仮に危急時状態になっても、上記のとおり特別方式による遺言をすることが可能なので
最後の悪あがき?も、何にもしないよりはましかと思いますね。

もし、まさか、の場合は(あってほしくないですが)ご連絡ください。

次回は、普通方式による遺言についてお話しします。