遺言するにはわけがある~熟年再婚~

~遺言するにはわけがある(熟年再婚)~

 このところ、遺言書作成についてのご相談が多くなっています。

よく、「遺言書を書くは必要ない」とそう言われる方がいます。

しかし、そんな方でもお話しを聞いていると「遺言を残された方が良いですよ」

そうお勧めすることが多いです。

遺言は必要無い場合

遺言は必要無いと思うのは、相続人が一人でかつ関係が良好な場合です。

それ以外の方は、個々の事情に応じて検討すべきでしょう。

遺言するにはわけがある

「遺言するにはわけがある」そんなテーマで今回はお話しします。

先ずは「熟年再婚者」です。図をご覧ください。

 熟年再婚図1

遺言者Aは50代で熟年再婚、遺言者、今の夫共に前夫前妻との間に子供がいます。

熟年なのでそれぞれの連れ子との間で養子縁組はしていません。

遺言者Aの財産は親から相続した賃貸不動産と預貯金です。

そしてすべての財産を自分の子供Bに相続させたいと考えました。

高齢の夫に自らの不動産を相続させても仕方がないからです。

相続の順序を考える 

この場合、先ず考えることは、相続の順序です。

つまり、どちらが先に旅立つかということです。

夫が先に亡くなり遺言が無い場合の相続は下図のようになります。

 熟年再婚2

相続人は妻Aが2分の1、そして夫の子Cが2分の1となります。

Aの固有財産には特に影響はないので、Aにとっては大きな問題にならないと思われます。

 問題は下図、Aが先に亡くなった場合です。

 熟年再婚3図1

相続人は夫が2分の1、そしてAの子Bが2分の1となります。

そしてその後夫が亡くなれば夫の財産を夫の子Cが相続することになります。

Aとしては夫の子Cには相続させたくないわけです。

 

そこでBにすべてをと遺言することにしました。

もちろん夫が遺留分減殺請求をする可能性については考慮しておく必要があります。

 

しかし、何もしないよりは断然マシです。

 遺言しなかった場合のリスクと公正証書で遺言作成をする費用を天秤にかけると、どちらが得かは明確です。

人それぞれ顔形が違うように培った財産、家族への想い、まさに千差万別です。

 大した財産があろうが無かろうが、その方が「遺言するにはわけがある」とうことです。

 では、本年も宜しくお願いします。

図20