遺言するにはわけがある~特定の子供に相続させたくない~

このところ、遺言書作成についてのご相談が多くなっています。

よく、「遺言書を書くは必要ない」とそう言われる方がいます。

しかし、そんな方でもお話しを聞いていると「遺言を残された方が良いですよ」

そうお勧めすることが多いです。

「遺言するにはわけがあるー3」 

「遺言するにはわけがある」そんなテーマの3回目です。

先ずは図をご覧ください。

YANO遺言図1

 

 

 

 

 

 

 

遺言者は80歳、夫は既に他界、割と大きな家に一人で暮しています。

財産といえば20年くらい前に購入したこの自宅と僅かな預貯金です。

晩年は長男夫婦と 

実はこの自宅、

遺言者夫婦が長男A夫婦と同居、

晩年は看てもらおうと住宅ローンを折半して購入したものです。

ところが

4人の共同生活がはじまりましたが、

遺言者ご夫婦と長男Aのお嫁さんCとの折り合いが悪くなりました。

物の価値観や生活スタイルがあわないためトラブルの連続です。

長男は嫁の見方、結局、同居僅か1年で長男夫婦はこの家を出て行きます。

残された長男の住宅ローンはご夫婦が肩代わりすることになりました。

 

以後、長男夫婦は近くに住んでいるにも関わらずこの家に全く寄りつきません。

お盆やお正月でも電話一つ、手紙一つ寄こさない状況なわけです。

既に親子関係は無いも同然です。

一方で

一方近くに住む長女Bさん夫婦は母の事を常に気にかけており、

長女の夫Dさんも本当によくしてくれています。

そこで

もうお分かりですよね?

このまま遺言者が亡くなると財産は、

長男Aと長女Bが2分の1の割合で相続することになります。

遺言者は長男A(特に嫁C)にだけは相続させたくないと考えたわけです。

そこで、長女Bにすべてを相続させるとの遺言を残すことにしました。

もちろん「公正証書」です。

自筆だと長女が母に強要して書かせたのでは?など余計なトラブルの発生に繋がります。

 

もちろん、遺留分の問題は生じるので、

すべての財産を長女が相続することはできないかも知れません。

しかし、あげたくない人の取り分を少なくすることはできます。

 

人それぞれ、顔かたちやDNAが違うように、

培った財産、家族、そして家族への想いは千差万別です。

まさに「遺言するにはわけがある」です。

 

遺言を書かれた後、皆さん同じことを言われます。

「安心した!

   よかった!

     助かったよ」と。

このお仕事をして一番嬉しく思う瞬間です。

図20