~せめて遺言ありさえすれば-その4~ 子供がいない
~せめて遺言ありさえすれば-その4~
相続に関する相談を受ける際、先ずお聞きすることは「遺言書」の有無です。
多くの方が残していないと言います。
それはそうです、あれば困って相談に来ることは少ないからです。
話を聞いた後、いつも思うこと、
「せめて遺言ありさえすれば」です。
遺言が無いばかりに困った事例紹介の4回目です。
お子様のいない方は遺言書が必要
「お子様のいない方は遺言書が必要です」と常々語りかけています。
お子様がいない場合の相続手続きはとても繁雑になるケースが多いです。
今回はそんなお話しをします。
Haruさんは、生涯未婚、少し前から体調を壊し入退院を繰り返していました。
療養看護をしてきたのは近くに住む姪のNatuさんです。
しかし、そのかいもなく亡くなります。
平成25年7月のことです。
葬儀や亡くなった後の役所手続き、家財道具の片づけはこのNatuさんが行いました。
それらにかかった費用もこの方が負担しています。
Haruさんの財産は郵便貯金が数百万円ですが、凍結されてしまいました。
Natuさんは、近くの郵便局に相談にいきます。
局の方は多分事態を充分に把握していなかったのか、
「一人でも出来るよ、簡単だと」とそう言ったそうです。
全くなんてこと言うんだ、ここは「誰か専門家に相談しなさい」でしょう。
そこで言われたとおりに戸籍の取得から始めることにしました。
Haruさんの兄弟は7人、
うち5人の方が亡くなり甥や姪に代襲相続が発生していました。
Natuさんは仕事をしているので、平日休みを利用しながらの手続きを進めます。
推定相続人は9名、所在も含め、ある程度判明しましたが、なかなか連絡がつきません。
行方不明者がいたりもします。
2年後、Natuさんは遂にあきらめます。
そして、放置したまま更に2年が過ぎます。
たまたま、知人を介して相談を受けたのが昨年の12月。
手続を進めることにしました。
9名いた相続人のうち2名がその後亡くなっていました。
その結果、相続人は13名と4名増加。
所在も北は東北から南は九州南端にまであちこちに散らばっています。
連絡を取るのにも時間がかかります。
10名の方とはようやく連絡がつきました。
手続書類に署名押印、「印鑑証明書」の取得までは完了しました。
しかし、全員のものを用意しないと手続が出来ません。
残りはあと3名ですが、なかなか思うようには進まないわけです。
但し、急ぐ必要があります。
「印鑑証明書」の期限があるからです。
そんなわけで、郵便受けを気にする日々が当面続きます。
せめて遺言あるさえすれば
Natuさんは、
以前からHaru叔母さんが遺言を書くよう周囲の方から言われていたようです。
しかし、なかなか言い出し難かったと言います。
そして「まさか、こんなことになるとは思わなかった」とも。
戸籍の束や封筒の束を見るたびに、
「せめて遺言さえあればなぁ」と思います。
まとめ
子供のいない方が亡くなると相続手続きが大変
理由
①相続人が多数になることが多い
②所在もばらばらで連絡がつき難い
③相続人も高齢、急がないと新たな相続が発生する
④見ず知らずの人も相続人となる
結果、自分の面倒を本当に良く看てくれた人に迷惑をかける。
そうならないために、「遺言書の作成」ことをお勧めします。