相続されるのは財産のみ、じゃが?

相続とは

相続とは人が死んだときその人が持っていた財産の権利義務を受け継ぐことを言います。
もちろん、借金などのマイナスの財産も相続されます。

ただし、被相続人の一身に専属したものは相続の対象とはならないとされています。

つまり、目に見える財産のみが相続されるということです

先週のこと

先週、40年以上も前から懇意にさせてもらっているお宅を訪問しました。
親友の実家です。そしてこの親友はもう家を出ています。

私がこのお宅を訪問する理由は彼のお母さんの顔を見に来ることでした。
彼女には、若い頃本当にお世話になりました。

彼女が特に何かを私にしてくれた訳ではありません。
彼女は私にご飯を「藤崎さん、何もないが食べて行きなさい」と振る舞ってくれただけなのです。

社会人になり、家庭を持ち、いろいろと忙しくなり、その彼女とも段々と疎遠になって行きます。

年に一二度程度、家の前を車で通るのですが、素通りするわけです。

これではいかん

ふと、これではいけない、生きているうちに「ありがとう」の言葉を伝えようと、そう思いました。

エンディングノートで、
「お世話になった方との思い出の写真を、、、そして元気なうちに『ありがとう』の言葉を」
そう、提案したのは、彼女の存在があったればこそです。

そして、

30年振りに又彼女との親交が始まりました。

以前とおんなじです。

「藤崎さん、何もないが食べて行きなさい」でした。

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お別れが

残念なことに、彼女は昨年亡くなりました。
実家は長男さん夫婦が継いでいます。

古い、そして伝統のある旧家です。
そしてこのご長男様との新たな付き合いも始まりました。

彼女が繋いでくれたのです。

またまた

先週このお宅を訪問した際、帰り際に長男さんが

「藤崎さん、少し早いがお昼ご飯を食べて行きなさい」といいます。

元々遠慮せんたちなので(笑)、戴いていくことにしました。

そして

食事の後、このご長男さんが言います。

「我が家には大した財産は無いけれども、代々受け継いできた土地と両親が建てたこの古い家がある。

そしてここに今は自分の子が一緒に住んでいる。

この、子ども達にも大したものは残せないし、残さないが、

代々受け継いできた〇〇家の家風、信仰心、倫理観、そんなものは受け継いで欲しい、」と。

相続というのは、目に見える財産のみ、

相続というのは、目に見える財産のみ、そう言いました。

しかし、目に見えるものは、いつか朽ち果てていきます。

残された家族が困らないようにと、一定の財産を残したいという気持ちはよく分かります。

が、それよりももっと大切なものがあるのでは?とそう感じた一日でした。

そこで

自分の財産を誰にどのくらい相続させるには遺言書の作成が必要です。

想いを、付言やエンディングノートで伝える。

このことも、とても大切な事だと改めて感じました。

このご夫婦は私にご飯を振る舞ってくれました。

お母様の思いやりの心を、相続しているわけです。