せめて遺言ありさえすれば

~せめて遺言ありさえすれば~

相続に関する相談を受ける際、先ずお聞きすることは「遺言書」の有無です。

多くの方が残していないと言います。

それはそうです、あれば困って相談に来ることは少ないからです。

話を聞いた後、いつも思うこと、

「せめて遺言ありさえすれば」です。

 今回は、遺言が無いばかりに困った状況にある事例をご紹介します。

離婚家族図

父Bは20代で妻Dと婚姻、子Eを授かりました。

しかし婚姻関係は数年で破綻、Eが幼少のころ離婚、DはEを連れて家を出ました。

 

Bはその後現在の妻Cと再婚、子Aが誕生しました。

小規模ながら事業を開始し、子Aが家業を受継いで現在に至っています。

 

数年前から体調を壊し入退院を繰り返していましたが、一昨年他界。

高齢の母と共に父の療養看護をしてきたのが、AそしてAの妻です。

 

相続財産は預貯金と不動産そして事業時の負債です。

預貯金は負債と相殺、結局残ったのは昔から所有していた宅地や事業所を含めた不動産です。

 

この場合の法定相続人は妻Cが2分の1、子AそしてEがそれぞれ4分の1となります。

 

C・A・Eの3人で遺産分割協議が開始されましたが、Eが相続分を主張し、協議は難航しています。

事業を引き継いだとか、両親の療養看護に努めたことは、寄与分としての主張は出来ても、なかなか難しいというのが現実です。

 

いろいろと手をつくすも上手くいかず、そのまま放置状態が続いていました。

ところが最近不動産屋を通じて、この不動産の一部を購入したいとの申し出がありました。

しかしながら亡父の名義のままではどうにもならないわけです。

 

「せめて遺言ありさえすれば」と思う瞬間です。

 

相続トラブルになった方がもれなく口にする言葉です。

 「まさか、自分が、こんなことになるとは思わなかった」と。

早めの相談がとても大切です!相談5分!後悔は3年!?

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