平等と公平
平等と公平
90歳になる老人男性です。
数年前、妻を亡くした後、体調を壊し施設に入所しています。
父の面倒はずっと長男が看てきました。
遠方に住む次男は、ここ数年父の顔を見に来ることもありません。
遠方といっても日帰りできるくらいの距離なのですが、、、
「○○は死んだのか?」父は冗談めかしに弟のことを兄に尋ねます。
この父の財産は、妻と築き上げた不動産と預貯金です。
父はこの家をとても大切に思っていて、できれば子供達に住み続けてほしいと思っています。
そして長男はこの父の家を引き継ごうとしています。
もし、今、父が亡くなったら父の財産はどうなるのでしょうか?
答えはお分かりですよね。
兄と弟がそれぞれ2分の1を相続することになります。
法の下の平等ということです。
しかし、なんとなくしっくりきませんね。
父は「長男に財産の全てを残したい」そういいます。
「全ては無理としても、家と土地を含めできるだけ多く長男に残したいのであれば、遺言を書くしかない」そう私は返しました。
「いまさら遺言書なんて」と父は言いましたが、
結局、公証役場で遺言書を作成することにしました。
父が亡くなると遺言に従い、財産は兄に余分に渡ることになります。
兄弟平等とはなりませんが、こちらの方が公平だと思いませんか?
終わった後、「よかった、これで安心した、ありがとう」そう父は私に言いました。
遺言を書き終わった方から一番多くもらう言葉は、
「これで安心した、ほっとした、」です。