不動産を遺言で

不動産を遺言で

つい先日のニュースです。

増田寛也元総務相ら民間有識者でつくる研究会は26日、増加が問題となっている所有者不明の土地が全国で
約410万ヘクタールに上るとの独自の推計を公表しました。

これは、全国の土地の2割に当たり、九州の面積を上回っていることになります。

不動産の相続

相続手続きのお手伝いしていると、不動産を相続したが、貸すこともできない、売ることもできない、
固定資産税を払うだけで困っているという話をよく聞きます。

「よかったらあげる」「いらんいらん」(笑)そんな会話も日常茶飯事となってきました。

元気なうちに自らの不動産をどう処分するかはとても大切なことです。

プラスの財産と思っていた不動産が逆に子供達を困らせることになっては元も子もないですよね。

さて、本題です

遺言者Aは90歳、数年前から体調を壊し施設に入所しています。

妻は既に亡くなっており、相続人は二人のお子様長男B、長女Cです。

主な財産は、Aが妻そして子供達と生活してきた不動産(土地・建物)そして僅かな預貯金です。

二人のお子様B・Cは、それぞれ持ち家があるので、この家に住むことはありません。

誰かに貸すことも考えましたが、賃貸するというのも結構面倒です

そんなわけで、ここ何年かは空家状態だったのですが、
長女の子である遺言者のお孫さんD家族が環境の良い田舎暮らしを希望、ここをリフォームをして住むことになりました。

遺言書を作成

そこで、遺言者AはDにこの土地建物を遺贈するとの遺言を作成することにしました。

遺言が無いと、この土地建物は遺言者の長男Bと長女Cが持ち分2分の1ずつでの共有となります。

Bがどう判断するかは分かりませんが、場合によっては、現に居住しているDの立場はとても不安定なものになるわけです

その他の預貯金については遺言をしませんでした。

BとCで協議をすればよいとの判断からです。

Cは自分の子であるDが不動産を取得したのだから、残った預貯金はすべてBにあげるつもりです。

Bには遺留分の問題は残りますが、多分残った預貯金を取得することでカバーできそうです。

前述したとおり遺言が無いと長男Bと長女Cが持ち分2分の1ずつとなります。

その場合、遺産分割協議でどちらかのものにするかが問題となります。

仮に長女Cが取得したとします。

この場合でも今度はCがDへと遺言を書く必要があります。

Cの長男にも相続権があるからです。

話が壊れたら

このようなケースで、もし途中で話が壊れたら、結局そのまま権利関係が定まらないまま放置させることになります。

それが、冒頭に記述した所有者が不明の土地へと繋がっていくわけです。

そう考えると今回の遺言者Aの判断は正しかったといえます。

図20

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA