遺言は必要ない?-2

遺言書がなかったら?

遺言書の必要性について書いていますが、逆にもし遺言がなかったら、どうなるのでしょう。

遺言がない場合は、法定相続人全員による「遺産分割協議」が必要となります。
法律が定めた相続権利のある人全員で、亡くなった人の遺産をどう分けるか話し合って決めなさい。
ということです。
皆が合意すればどのように分けてもかまいませんが、
分け方の基本は、民法900条の「法定相続分」によります。

法定相続人 

図1 法定相続人について図を用いて説明します。
 1.配偶者(図では妻)は常に相続人となります。
    但し、内縁ではだめです。

  それ以外には順位があり、先順位者がいる場合、後順位には相続分はありません。

 2.第一順位・・子(直系卑属)子が既に亡くなっている場合、孫に相続権があります(代襲相続)

  3.第二順位・・親(直系尊属)親が既に亡くなっている場合は、祖父母に相続権があります(代襲相続)

  4.第三順位・・兄弟姉妹、既に亡くなっている場合、その子(甥姪)に相続権があります(代襲相続)
                          
※第1・2順位の代襲相続は再代襲(ひ孫、曾祖父)がありますが、第3順位者の場合再代襲はありません。(甥姪の子等)

法定相続分

ケース1・・配偶者が全て相続

ケース2・・配偶者+第一順位(子)
子が2人の場合は、配偶者2分の1
子A=4分の1、子B=4分の1

ケース3・・配偶者+第二順位(直系尊属)

ケース4・・配偶者+第三順位(兄弟姉妹)
子供のいない夫婦の多くの方が、自分が亡くなった後
は全て配偶者が相続すると勘違いされています。
これは、大きな間違いです!
実は兄弟姉妹にも4分の1ですが、相続権があります。
そしてこの4分の1が実に厄介ですし、
一番トラブルを起こしやすいケースです。

なんといっても、「兄弟は他人の始まり」と言いますからね。 

法定相続分どおりに分けることは難しい

法律で決められた相続分に基づき分けることが出来れば問題ありません。
残された財産が、現金・預貯金など分けやすいものであれば可能です(可分債権)

問題は土地や家などの不動産がある場合です。当然真っ二つというわけにはいきませんよね。
これにはいくつか方法があります。
1.共有名義とする
  これはお勧めできません。
  不動産は当然に所有者が亡くなったときに法定相続分に従い共有状態となります。
  相続登記には、期限が無く登記しなくても罰則もないので、何となく放置している方が多くいます。
  しかし、相続登記をしないまま長期に放っておくと、相続人にさらに相続が発生するなどして、
  「遺産分割協議」に加わる人の数が増え、協議そのものがまとまりにくくなります。  
  そして、まとまらないと、被相続人名義のままでは、その不動産を売却したり、担保に入れることもできなくなります。
 
2.換価分割する
  売却してお金に換えて分ける方法です。
  相続人の一人が居住しているような場合は、難しいかと思います。

3.代償分割
  不動産を取得したい人が価格相当の金銭を他の相続人に支払う方法です。

  ※いずれにせよ、全ての相続財産を法定相続分どおり分けることは難しいと思います。

遺産分割協議

 冒頭でも述べたとおり、亡くなった方の財産は、相続人全員による「遺産分割協議」で決めます。
 相続人全員です。一人でも欠けた場合の「分割協議」は無効とされています。
 また、相続人が認知症などで分割協議が出来ない場合は、選任された「後見人」が本人の為に行うことになります。

 一人でも反対者がいれば、協議不成立として家庭裁判所に「調停」を申立し、それでもまとまらない場合は「審判」となります。
 この時点で家族関係や親戚関係は崩壊します。非常に残念なことです。 

 「遺言書」があれば防げた可能性が高かったと思われます。

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 最後までお読みいただきありがとうございました。

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