遺言書にかけること
遺産分割協議が成立しないと
相続人全員による遺産分割協議が成立しないと、家庭裁判所による「調停」となります。
調停でも上手く話がまとまらなければ、「審判」となります。
裁判所に決めてもらうわけです。
このような状況になったら家族関係や姻戚関係は残念ながら崩壊してしまいます。
とても悲しいことだと思いますね。
遺言があれば100%相続人の満足のいく結果になるとは言いません。
しかし、全面戦争になって「東西冷戦」状態になれば回復困難となります。
遺言書があれば全面戦争を「局地戦」に持ち込むことができます。
「局地戦」であれば、時とともになんとなく元の鞘に納まることだと思います。
遺言書は残された家族への最後の愛情表現
前述のように「遺言書」があれば、
家族が遺産分割によるトラブルに巻き込まれることを防止できます。
「家は仲がいいから大丈夫だ」と思いたい気持ちは分かります。
常日頃から「仲良くせよ、と言い聞かせている」というのも理解できます。
しかし、それを一歩先取りして「文字として残す」わけです。
想いや気持ちは言葉でも伝えられますが、亡くなった後は、残念!
「死人に口なし」です。
やはりここは文字として残すことをお勧めします。
「ああ、やっぱりオヤジは僕たち家族のことを本当に考えてくれていたんだなあ」
と、家族に改めて感謝される法律行為、それが「遺言」だと思います。
遺言にかけること
遺言には何を書いてもかまいませんが、法的な効力が認められていることが大切です。
遺言事項といいます。
- 遺産分割方法の指定
不動産は誰に、預貯金は誰に、と分割方法の指定が出来ます。 - 遺産分割の一定禁止
5年を超えない範囲で、遺産分割を禁止することができます。 - 相続分の指定
法定相続分とは異なる相続分を定めることができます。但し、遺留分に注意が必要です。 - 推定相続人の排除
不義理をしたような財産を残したくない推定相続を排除することができます。
(遺言執行者が家裁へ審判を申し立てる必要があります) - 遺言執行者の指定
遺言の内容を実現するために、遺言執行者を選任することができます。(複数でも可能) - 認知
被嫡出子を遺言で認知することができ、認知された子は相続人となります。 - 未成年後見人等の指定
被相続人が最後に親権を行う者である場合、遺言で未成年後見人や
後見監督人を指定することができます。 - 遺贈
相続人以外の人に財産を贈与することができます。
逆に法定相続人以外の方に財産を残したいという人は遺言を書くしかありません。 - 付言
付言そのものは効力はありませんが、
作成動機や定めた内容の理由などを書くことで、相続人への理解、意思の尊重に繋がります。
付言を上手く利用しよう
法定相続人に法定相続分に従って分けることが出来れば、遺言は不要かもしれません。
それが一番「平等」だからです。
しかし、不動産などの財産があれば「平等」に分けることは不可能に近いといえます。
また、亡くなった方と相続人の関係は決して平等ではありません。
兄の方が面倒を良く見たとか、逆に兄は迷惑ばかりかけたとか、
兄弟それぞれで関わり方が違うので、
「平等」に分けたとしてもそれが正しいとは言えないのです。
つまり「平等」=「公平」ではないということです。
そこで、「付言」の登場です。
「付言」であなたが書いた遺言の内容を補足するわけです。
あなたの意思を明確に伝えるのです。
内容がが少し不平等であっても、不公平であっても効力はかなりあります。
弟さんのお嫁さんが遺言の内容に少し不満を抱いたとしても、
あなたの「文字」で納得されるのではと思います。